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卵塞症(らんそくしょう;卵づまり、卵秘: Egg Binding)

2015年3月18日 / ☆小鳥の病気

 卵塞症は、お腹の中に卵があるのに、産卵できない状態です。この状態が続くと、体力消耗や排便障害から、生命に危険を及ぼす可能性があるために早急に治療を始めなくてはなりません。卵塞症には停滞型と難産型がありいずれも一年中発症がみられますが、寒暖の差が大きい晩秋から早春には特に多く発生します。 卵塞症1

原因


  持続発情による過産卵、カルシウム・ビタミンの不足や寒さによる卵収縮不全、卵管口の弛緩不全などが主な発生要因と考えられます。

  過産卵は、体内の組織のカルシウム量を減少させ、卵管が十分に収縮しないために、卵を排出できなくなります。また、殻をもたない軟卵が作られて停滞してしまいます。卵が卵管内に停滞している時間が長くなると、卵殻が卵管粘膜と癒着して炎症をおこし、さらに産卵が困難になってしまいます。

 

症状


  難産型は、元気だった鳥が急に膨らんで動かなくなったり、カゴの隅でうずくまるような症状が見られます。水をよく飲むために水分の多い糞をするようになります。呼吸が荒くなり、体力の消耗が激しい場合は発生から24時間以内に落鳥する場合もあります。

 停滞型は難産型より症状が軽く、お腹の膨らみが見られるだけですが、排便障害から体力が低下したり、卵管炎や腹膜炎の続発症を起こす可能性があるので、注意が必要です。

 

治療


  卵塞症が判明したら、まずすぐに30~33℃に保温します。 1日に1回短時間35℃まで加温します。保温のみで産卵する場合もありますが、通常はブドウ糖やカルシウム剤、産卵促進剤の注射が必要となります。

 停滞型の卵塞症は注射による内科的な治療で85%以上が産卵しますので、やみくもに手で押したり力ずくで卵を出してはいけません。内科的治療で効果がない場合や難産型では人工的な処置が必要となります。卵が排泄孔近くまで降りてている場合は、用手にて卵の除去を試みますが、卵がより上部にに停滞している場合は卵管を切開する手術 (帝王切開)を行う必要があります。

 

予防


 1度卵塞症をおこした鳥は、何度も繰り返す傾向にあります。1回の卵塞で命を落とすこともあります。日常生活での発情予防や、場合によっては薬によって産卵停止させることが大切です。

                       ©みやぎ小鳥のクリニック

 

*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。

【参考文献】

・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)

・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)

・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」