精巣腫瘍(せいそうしゅよう:testicular tumor)
2015年5月22日 / ☆小鳥の病気
小鳥の精巣はお腹の中の背中側に左右2つあります。他の臓器と同じように高齢になると精巣にも腫瘍の発生が多くなります。精巣腫瘍は鳥類全般によくみられますが、特にセキセイインコには高率に発生がみられます。
原因
はっきりした原因は不明ですが、慢性的な発情や夜間照明によるホルモン異常、加齢などが関与していると思われます。
症状
られませんが、女性ホルモンの影響で鼻(ろ
う膜)が茶色に変色するしたり過剰な発情兆
候がみられる場合があります。さらに腫瘍が
大きくなると、他の臓器を圧迫するようなり、
排便困難や呼吸困難がみられるようになり、
お腹がふくらんでいるのがわかるようになり
ます。
診断
骨や精巣が大きくなっていることで
診断します。他の病気との区別のた
めに消化管造影検査が必要な場合が
あります。
治療
完治には手術で摘出するしかありません
いので、投薬による内科療法がおこなわれ
ることがほとんどです。生活環境の改善と
発情抑制剤を中心に、各種抗腫瘍物質を使
用する免疫療法が行われます。腫瘍が良性
の場合には数年以上(当院最高3年)生存
可能な場合があります。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」