外傷性跛行(がいしょうせいはこう:traumatic lameness)
2015年5月20日 / ☆小鳥の病気
「片足が着かない・浮かせている」と来院させる鳥さんの多くが外傷(=ケガ)によるものです。麻痺と違って、上げている脚の指が開いているのが特徴です。外傷性跛行の場合には、打撲、捻挫、骨折が考えられます。
原因
羽が切られている鳥に多くみられ、飼い主の肩から落ちた、踏んでしまった、ドアに挟まったという人為的なものがほとんどです。あるいは、何らかの理由で運動能力や脚の機能障害があり、止まり木から落ちたり、ケージや掛け布に爪がひっかかって痛めてしまうようです。
診断
鳥さんの脚に異常がある時は、まず、それが「痛み」なのか「麻痺」なのかを確認します。一般的には指を広げていれば「痛み」、指を閉じていれば「麻痺」と判断します。「痛み」の時は、年齢、症状、血液検査、X線検査(レントゲン)などから外傷、痛風、関節炎の区別をします。
一般的な外傷の場合は、通常受傷後3日程度で回復しますので、それ以上長引く場合には骨折やその他の病気の可能性を考慮して受診をおすすめします。
治療
痛みが軽い時は、ケージ内で安静にして自然回復とします。痛みが強く、食欲がないような時は鎮痛剤を使用します。X線検査で骨折が判明した時は、外固定または整復手術を行います。
予防
まず、鳥さんの羽は極力切らないこと。切っている場合には、テーブルや、人の肩など、落ちる可能性がある場所には乗せないことが賢明です。爪が伸びている時には定期的に切って、ひっかからないようにします。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」