胃癌(いがん)
2015年3月23日 / ☆小鳥の病気
胃癌は胃に発生する癌の総称です。
胃癌はすべての鳥種で発生する可能性がありますが、セキセイインコでは特に多く発生します。なかなか治らない胃炎症状の末に亡くなったセキセイインコを調べると、高率で胃癌がみつかります。
原因
遺伝や栄養、過発情などが危険因子と考えられ、マクロラブダス症に続発した慢性胃炎の末に胃癌がみつかるケースが多く、大きな要因のひとつとして指摘されていますが、詳しいことはわかっていません。
症状
胃癌発生当初は無症状と考えられます。進行すると、吐き戻しや黒色便など胃炎や胃潰瘍と同じ症状ですが、一定期間治療しても、一進一退を繰り返し、なかなか良くならない場合には胃癌が発生している可能性があります。最終的な診断は、死後の剖検で確認されますが、どの時点で癌化したのかは推測の域を出ません。
診断
治療してもなかなか良くならない胃炎症状があり、X線検査で慢性的な胃拡張やガスの貯留があり、ゆっくり体重が減っている場合には胃癌の疑いがありますが、生前の確定診断は困難です。胃癌と診断された鳥のほとんどは亡くなった後の剖検で細胞を調べて診断されています。
写真:胃の粘膜に出血がみられる(〇部分)
写真:癌化した胃粘膜の細胞(矢印)
治療
治療は胃炎に準じて行われます。胃癌が疑われる場合には、免疫強化のために、漢方薬、インターフェロン、各種抗腫瘍サプリメントを使用して延命を試みますが効果は定かではありません。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」