消化管内寄生虫(Intestinal Parasites)
2015年5月12日 / ☆小鳥の病気
鳥類ではたいへん多くの消化管寄生虫感染の報告があります。よく遭遇する寄生虫には、線虫類、条虫類、コクシジウム、鞭毛虫類、胞子虫類があります。飼い鳥でよくみられる寄生虫には、ジアルジア、ヘキサミタ、回虫、キャピラリア、コクシジウム、トリコモナス、条虫、胃虫、クリプトスポリジウムがあります。
原因
寄生虫によって感染経路はさまざまですが、多くは経口的摂取で感染していると思われます。親鳥から給餌や他の鳥との同居時に感染することが考えられます。
診断
鳥類臨床では、免疫学的・遺伝子学的な診断が確立されていないため、診断は肉眼的に虫体を確認するか顕微鏡下糞便検査で検出することによります。
①ジアルジア(成体) ②コクシジウム(オーシスト)
③毛細線虫(虫卵) ④トリコモナス(成体)
写真:①国立感染症研究所 ②、③実践的な鳥の臨床 ③さとう動物病院
症状
寄生虫、寄生数、寄生部位によって症状は異なります。ほとんどの寄生虫の少数寄生では、多くは無症状です。なんらかの理由で免疫力が低下した時に寄生虫が増殖して発症する場合があります。一般的な症状は、体重減少、成長不良、消化不良、下痢、血便、吐出、嘔吐などです。
治療
対症療法としての制吐剤や消化剤などを併用しながら、それぞれの寄生虫に合った駆虫薬を投与します。寄生虫によっては駆除が困難で、効果発現まで長期間を要することがあります。体重減少や衰弱が著しい場合には、入院下で投薬や強制給餌を行います。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」