糖尿病(とうにょうびょう:Diabetes Mellitus)
2015年5月12日 / ☆小鳥の病気
血糖値が高い状態が持続する病気です。
一般的な飼い鳥の血糖値は、おおよそ200-450mg/Lですが、糖尿病の鳥では600mg/Lを超えることが多いです。
病因
鳥類での糖尿病の原因は明らかになっていませんが、多因子性であると考えられています。遺伝的素因、感染、インスリン抵抗性の疾患や薬物、肥満、膵炎などが発症を誘発する因子といわれています。
症状
糖尿病の鳥は、水を飲む量が増えて、尿の量が増えます(多飲多尿)。発症当初は肥満だった鳥も次第に痩せていきます。脱水症状のために、羽毛が粗造になり、目は落ちくぼみます。しだいに衰弱し、発見・治療が遅れると致命的です。
診断
尿量が増えた時はまず、尿糖を調べます。尿糖が出ている時は、血糖値を調べて、基準値上限以上で600mg/L未満の時は糖尿病を疑い、600mg/Lを超える場合には糖尿病と診断できます。
(血糖値) (判定)
正常上限~599 → 糖尿病の疑いがある
600以上 → 糖尿病確定!
治療
インスリン注射による治療が困難な小型鳥種では、血糖下降薬の内服によって治療することがほとんどです。内服薬は長期間続けることで徐々に効果を発揮し、血糖血が正常値まで下がることもあります。肥満の個体では食事管理を徹底して減量に努めます。膵炎が併発している場合には、抗菌剤や消炎剤、消化剤を使用することがあります。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」