心臓病(とりのしんぞうびょう:cardiovascular Disease in Birds)
2015年3月23日 / ☆小鳥の病気
飼い鳥にみられる心臓疾患には、うっ血性心不全、心内膜炎、心筋疾患、心膜疾患、動脈硬化症などがありますが、通常は生前の確定診断は困難なので、一括して心臓病として治療・管理が行われます。
原因
心不全の発生要因には、加齢、心筋不全、感染症、高血圧、高血糖、脂質異常症、寒冷、慢性発情などがありますが、ほとんどの飼い鳥で病因は調査されていません。
症状
多くの心臓疾患の症状は共通していて、呼吸困難、テールボビング(尾の上下)、咳、いねむり、チアノーゼなどがみられます。
診断
やX線検査から暫定的診断を行います。X線検査
では心臓の拡大や肺の不透過性が確認できます。
動脈硬化症では、大動脈の明瞭化が明瞭化がみら
れることがあります。症状が重く、緊急性がある
場合には試験的投薬によって仮診断することがあ
ります。
治療
近年は肥満や脂質異常症から動脈硬化症や他の心臓病を発症しているケースが増え、食事管理や血中脂質を下げる薬を使用することが増えました。その他に血圧を下げる薬や、強心剤、利尿剤などの投与で病状の改善、維持を図りますが、完治は困難です。症状が重く、開口呼吸やスターゲイジングなど呼吸困難症状がある場合には、まず酸素吸入や吸入治療をして安静に努めます。検査や処置のためであってもにむやみに触れることは致命的です。
予防
脂質異常症、肥満、高血糖が心臓病の大きな危険因子であると考えられていますので、食事管理や発情抑制、適切な運動によってこれらを予防することが大切と思われます。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」