肺炎(はいえん:pneumonia) 気嚢炎(きのうえん:airsacculitis)
2015年3月23日 / ☆小鳥の病気
下部呼吸器疾患としての肺炎、気嚢炎は飼い鳥でしばしば発生します。
原因
最も多い原因は感染症(細菌、真菌、ウイルスやクラミジアなど)と思われまずが、他に外傷、気嚢ダニ、刺激物の吸入、高脂質血症、食物・薬剤の誤嚥などが考えられます。感染症の特定には培養や遺伝子検査が利用されます。
症状
原因によって症状は多少異なりますが、共通する症状は呼吸の異常です。呼吸の異常には、テールボビングとして観察されるような、呼吸困難、多呼吸、頻呼吸があります。重症の場合は、開口呼吸や頸部伸展(スターゲイジング*)がみられることがあります。通常は活動の低下を伴います。
*スターゲイジング:呼吸が苦しいために首を伸ばして上を向く姿勢。星を見上げる(Star Gazing:星空観察)という意味から来ています。
診断
呼吸器症状に加えて、X線検査で肺が白くなっていたり、気嚢ラインがはっきり見えることで診断します。
↑肺が白く濁っている(〇部) ↑気嚢ラインが写っている(矢頭)
治療
疑われる原因に応じて、抗菌剤、抗真菌剤、消炎剤などを使用します。通常これらの薬は注射か内服しますが、症状が重い場合には、身体の負担や即効性を考慮してネブライザーによる吸入治療を行います。呼吸困難がある場合は酸素吸入を行って肺換気を補助します。気嚢は血行が少なく、薬が効きにくいので、気嚢炎には吸入治療が効果的ですが、重症化したり死亡することがあります。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」