痛風
2015年5月20日 / ☆小鳥の病気
痛風は、血液中に尿酸が異常に増加し、その結果、関節や内臓の表面に尿酸が固まって付着する病気です。尿酸は食餌に含まれるタンパク質が分解される時に発生します。健康な鳥では腎臓が血液を濾過し、尿酸を血中から取り除いて排泄物となります。
痛風には「関節痛風」と「内臓痛風」という2つのタイプがあります。関節痛風では、尿酸の結晶が関節、主に足根関節(かかと)、膝関節や肩関節、にたまります。
内臓性痛風では、尿酸は内臓の表面に付着します。2つのタイプが併発するケースも少なくありません。
原因
血液中の尿酸が増える一般的な原因は、腎臓の病気です。その他多くの栄養学的要因があり、その1つとして高タンパク質食が疑われます。
症状
・関節性痛風:痛みのための歩行障害、歩行困難、止まり木に止まれない、活
動量の減少、関節の痛みや腫れ
・内臓性痛風:体を膨らます、活動性低下、多飲多尿、場合によっては突然
死。
診断
関節性痛風:特徴的な関節の結節で診断されることが多いですが、初期には血
液検査で尿酸濃度を調べることで診断できることがあります。
内臓性病風:生前の確定診断は非常に困難ですが、血液検査で尿酸値を調べる
ことが役に立ちます。
どちらの種頬の痛風においても、血液検査所見やレントゲン撮影が診断の助けとなります。血液中の尿酸値が20以上であれば高尿酸血症と診断されます(通常は13以下)。
治療
残念ながら、人間の痛風と同じで根本的な治療方法は確立されていません。治療の目的は尿酸の蓄積を止めるか、もしくは緩やかにし、炎症を抑えることです。尿酸の生成を減らす薬剤も使用できます。抗炎症剤や鎮痛剤も必要に応じて使用します。一般的な対症療法も行います。
関節痛風の場合は止まり木に変化をつけたり、布などを巻きつけたりして関節の痛みを和らげるようなものにします。種子食の鳥はタンパク質が少ないペレット食に変更し、果物や野菜を多く与えるとよいでしょう。餌や水の容器は鳥が届きやすい場所に置きます。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」