腎臓病(Kidney Disease)
2015年5月12日 / ☆小鳥の病気
腎臓は、体内の老廃物を尿酸として排泄する臓器です。腎臓が障害を受けると、尿酸がうまく排泄されずに体内に蓄積し、さまざまな異常があらわれます。
主な飼い鳥の腎臓病には、ビタミンA欠乏性腎症、痛風、感染性腎炎、腎腫瘍、カルシウム過剰性腎症、中毒性腎障害、尿路閉塞性腎不全などがあります。
鳥がたくさん水を飲むようになった時は、まず腎臓病、糖尿病を疑います。
原因
腎臓病はざまざまな要因が複合的に関わって発生しますが、主な原因としては、感染(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)、重金属中毒、尿路閉塞、ビタミンA不足、カルシウム過剰、タンパク質過剰、マグネシウムとリンの欠乏、遺伝的要因などがあります。
症状
腎障害の原因によって症状はさまざまですが、一般的にみられる症状は多飲多尿です。血尿、たんぱく尿がみられることがあります。病状が進行すると腎不全をおこして血液中の尿酸が増加して食欲不振や膨羽、嘔吐がみられ、しだいに衰弱していきます。
腎臓病が進行すると腎不全になります。腎不全が慢性化すると、尿酸が関節に沈着する痛風となり、ひどい痛みがあらわれます。
診断
腎臓病の腎臓に炎症がおきている時は血液中の白血球や白血球の一種のヘテ
を疑う所見のひとつです。血液中の尿酸値
が高くなっている時には腎臓病が強く疑わ
れます。また、X線検査で腎臓の不透過性が
亢進する場合があります。これらの所見か
ら総合的に診断します。
治療
腎臓病の原因がはっきりしている場合には、原因に対する治療が重要です。慢性腎疾患は難治性の場合が多く、完治することが難しいため、進行の防止と支持療法を行いますが、長期的な管理が必要です。治療には①食事療法と②薬物療法の併用が効果的です。
① 食事療法:現在は、腎臓病の鳥専用のフードが製造・販売されて、その効
果が実証されています。このフードはたんぱく質や灰分を少なくするな
ど、腎臓に負担がかからないように設計されています。
② 薬物療法:原因に対する治療として、ビタミンA不足が考えられる時は注
射によって補給します。細菌感染が疑われる時は抗菌剤を使用します。腎
臓の機能低下がある場合には尿酸排泄促進剤や尿酸合成阻害剤を内服し、
尿中に喪失する水溶性ビタミンを補給します。衰弱や食欲低下がある場合
には、入院下で輸液、強制給餌が行われます。
©みやぎ小鳥のクリニック
*本解説は、下記の参考文献および当院での実績を基に構成・編集したもので す。出典表記のない図、写真はすべて当院オリジナルです。
【参考文献】
・小嶋篤史著「コンパニオンバードの病気百科」(誠文堂新光社)
・海老沢和荘著「実践的な鳥の臨床」NJK2002-2007(ピージェイシー)
・Harrison-Lightfoot著「Clinical Avian Medicine VolumeⅠ-Ⅱ」